面白かったフリゲ2020
2020年も面白いフリゲがたくさんあったなあというタイトル通りの備忘録。
致命的なバレは避けてるけどふんわりとした感想はあり。
・みさきディスタンシング
人と人の「心の距離」をテーマにしたノンフィールドRPG。
「心の距離」をゲームで扱うにあたって「近すぎると傷つけあってしまうが、遠いと連携がとれない」というシステムに落とし込んであるのが上手い。あーりん氏の作品の中では比較的とっつきやすい方だと感じたけれど、難易度はなかなかシビア。
心の距離をどう保つか、限られたリソースをどう使うか試行錯誤するのが楽しかった。
・偽称オートプシー
↑と同様あーりん氏の作品。少女型のアンドロイドを解剖するゲーム。
このゲームが何のジャンルに入るのかは分からないが、遊び心地としてはノンフィールドRPGに近いものを感じた。
いきなり始まるので、最初はHELPとARCHIVE「篤志家 マリアンヌのボイスメッセージ」を見ることを推奨する。
相変わらず難しかった。どうにかNormalでクリアできたけれどもう一回はできる気がしない。切ないお話にBGMがとても合っていた。
・ラシュイットリーテ
お祭りのお手伝いに奔走する日常系ファンタジーADV。
マルルースさんのルートやラッシェへの主人公の発言等、端々から作者の誠実さを感じる作品だった。淡い色合いの可愛らしいイラストがぴったり合う優しいお話。
上手くやれば一周で一通りエンディングを回収できる仕様なのもありがたい。
・追星カスケード
川を下っていく龍を描いた雰囲気重視のノンフィールドRPG。
雰囲気がとにかく良い。画像、BGM、SE、詩的な文章のバランスが合っていて世界観に浸れる。戦闘を避けると浸食度が上がるが倒しすぎてもエンディングになってしまうジレンマで進めるのがなかなか難しかった。
・タナトスに沈む
集団失踪事件の唯一の生き残りとして、何が起きたのかを「思い出す」ノベルゲーム。
物語はもちろんのこと演出面が素晴らしい！こういうの大好き！
世界観に惹き込まれて一気に読んでしまった。ネタバレせずに読んでほしい作品なのでうかつに語れない…。
・扉は君の鍵で開く～同心円～
転校生が生徒たちの困りごとを解決していくADV。
NAN氏の「落葉の大地を走れ」にもあった、任意の単語を「質問」できるシステムをメインに据えた作品。質問できるNPCが多いうえ結構な単語に反応が返ってくる。
お金とらなくて大丈夫なのか心配になるほど作りこみがすごい。ただしその分難易度は高い。1～10話はそれほどでもないが、11話からは一気に難易度が上がる。
落葉同様、物語を小さな日常から大きな世界に繋げていくのが良い…。
ちなみに女性主人公でプレイすると強火の百合が味わえる。ヤッター！
・君はヒの魔法使い
雨が降り続く遺跡に引きこもってしまったクラスメイトを連れ戻す、ファンタジー系ゲームブック風ADV。
ウディタでゲームブックを再現しているすごい作品。鍋谷まいこ氏の作品はどれもプレイしてきたが本作が一番好きかもしれない。
少年たちの爽やかな友情が描かれており、グッドエンドの読後は晴れやかな気分になった。
・断片思想
迷い込んだ館で、役割を求めて探索する横スクロールADV。
隅々まで丁寧に作られた作品。ドット絵の美しさが素晴らしい。
物語はかなり重い。というか下手したら家庭や学校関連でPTSDを持っている人はプレイしない方がいいかもしれない。それくらい真面目に、丁寧に、重く描かれている。
といっても救いがないわけではないので、心理的な不安がない人はぜひプレイしてみてほしい。
・ミマモロール！
ショタっ子の”ママ”になって彼らを見守る、友情と絶望のRPG。
DL版もあるがマップの処理がかなり重いのでブラウザでのプレイ推奨。
2020年にプレイした作品の中で1，2を争うほど面白かった…！立ち絵やカットインの数が尋常じゃなく多いので、可愛いイラストに心惹かれたならそれだけでもプレイする価値がある。お金とらなくて大丈夫なのか？
歯ごたえのある難易度だが戦略の拡張性がなかなか高く作られているので、ボスだろうと上手くやれば1ターンでクリアできる。狙い通りに決まった時の爽快感がすごい。
友情や絶望以外に「罪と許し」も物語のテーマになっているように感じたが、綺麗な言葉だけを並べるのではなく「許したくない人、許されたくない人」もきちんと描かれておりバランスが取れている。
個人的にルチアとヒポグリフちゃん、そしてザック＆セクタのコンビがお気に入り。
・TOWER of HANOI
皆大好きせがわ氏の新作SF系RPG。
こちらも2020年にプレイした作品の中で1，2を争うほど面白かった！
相変わらず作りこみが尋常じゃないので、ドット絵は動くし細かいし料理が美味しそうだしあらゆるオブジェクトにフレーバーテキストが10人分ある。本当にお金とらなくて大丈夫？
物語は重ためで、せがわ氏の作品でいうと「END ROLL」と「ミノニヨクシティ」の間くらいかな。話の本筋とは関係ないがバショウが今作にもあったのは笑顔になった。
ナナシとクレヨンがお気に入り。ナナシは皆好きになるでしょ(巨大主語)。
これ以上書いてると2021年になりそうなのでここまでにする。冒頭でも書いたけど、2020年は本当に良いフリゲがたくさんあったなあ。
作者の皆様、素晴らしい作品を公開してくれてありがとうございます。
来年も良い作品に出会えますように！
(2021.4.8一部誤字を修正)
